ふしぎな図書館 村上春樹

ふしぎな図書館

ふしぎな図書館

羊男も出てくるふしぎな図書館のお話。
 羊男はすごく上手にドーナッツをつくる。ドーナッツの穴の話でおもしろいページを見つけたので記録しておく。http://s03.2log.net/home/mri/archives/blog180.html
 ドーナッツの穴のような問題は、普段は新月のように見えないけれど、ある日突然忍び寄ってくるのかもしれない。盲目のイルカのようにこっそりと。

「この先には、ずいぶんややこしい迷路があったと思うんですが」
「うん。そうだね」と羊男は言った。「確か迷路があったような気がするな。よく思い出せないけど、まあなんとかなるだろう」
 ぼくはそれを聞いて、ちょっと不安になった。迷路の困ったところは、自分の選んだ道が正しかったのか正しくなかったのか、とことん進んでみないことにはわからないところにある。そしてとことん進んで、間違っていたとわかったときには、もう手遅れになっていることが多い。それが迷路の問題点。

 当たり前なんだけどね、そうなんだよな。そのうえ、もし地図を見ていたとしてもやっぱり間違えるんだよね。方向音痴だから。
★★