重力ピエロ 伊坂幸太郎

重力ピエロ

重力ピエロ

半分しか血のつながりがない「私」と、弟の「春」。春は、私の母親がレイプされたときに身ごもった子である。ある日、出生前診断などの遺伝子技術を扱う私の勤め先が、何者かに放火される。町のあちこちに描かれた落書き消しを専門に請け負っている春は、現場近くに、スプレーによるグラフィティーアートが残されていることに気づく。連続放火事件と謎の落書き、レイプという憎むべき犯罪を肯定しなければ、自分が存在しない、という矛盾を抱えた春の危うさは、やがて交錯し…。

生物版・博士の愛した数式という印象。石田衣良にも似ている。「本当に大切なことは陽気に伝えるべきなんだよ」というのを体現した作品。まあまあおもしろいんだけどミステリーとしてはオチも読めるし物足りない。各所にちりばめられたピースが、全てきれいにはまりすぎててなんだかなあ。遺伝子を克服しろという感じは出ていた。
★★★