博士の異常な健康 水道橋博士

博士の異常な健康

博士の異常な健康

『健康本とは、死をゴールと見据えた「遺書」であり、生への執着を後世に残す「医書」である。そして、この本の目指すところは、完全なる実用書であり、有限の貴方の余命すらも、劇的に変えうる可能性もある、“平成の解体新書”を自負するものだ』。
 視力矯正・ファスティングダイエット・育毛・バイオラバー・加圧式トレーニング・胎盤エキス注射と、眉唾ものの話もあるが実に興味深く、そして笑える。東洋医学すらも超えたバイオラバーは西洋医療に毒された現代人には受け入れ難いだろうが、西洋医学でも解明できている病気はごく一部しかなく、「なんかよくわからないけど効く」という薬があるという事実を思い出した。
 そして人間モルモットとして博士が実践主義で僕に気づかせてくれたことは、健康とはただ単に病気にならないということではなく、突き詰めると“肉体を通じた精神との対話”であるということだ。その究極が次の文章である。公開包茎手術を行った博士は、術後1ヶ月の禁欲生活の中でこんなことに気づく。

 まず、最初の1週間は、健康な男子の生理的な減少である、いわゆる“朝立ち”ですら激痛がある。つまり自分の性的な反応、“チンピク”の状況に対して“痛み”を持って感知するわけだ。
 普通に何気なく見るドラマやCMにも性的なメッセージが隠されていたことを自らの体をもって知り、おのずと日常生活の意識していないところに自分の性の嗜好があることに気づき、「フェチ」なる言葉ではくくれないほど、無自覚に存在したことに驚く。
 それは、既に自分の知っていることでありながら、言葉にすることができなかった「内知の知」ならぬ「内痴の知」であり、つまり根源たる「疼き」を知る、未知の体験でもあった。
 今、この本を読み、人知れず悩める男性読者には、包茎手術とは、見た目の問題だけではなく、哲学的な開眼、精神衛生上からも推薦したい、男だけの健康法である。
 ちなみに、手術後は、俺たちも、どんな全裸シーンにも物怖じすることがなくなり、芸人として文字通り、“一皮むけた”のは言うまでもない。

★★★★