あの金で何が買えたか 村上龍

あの金で何が買えたか―バブル・ファンタジー

あの金で何が買えたか―バブル・ファンタジー

連日,新聞やニュースに流れる記事には何千億円とか何兆円なんて数字がポンポン。自分のサイフの中身とニュースに載る巨額の金額の間にはあまりに大きな隔たりがあり,実体を感じにくい。そこで,それをわかりやすい具体的なものに換算し,そのお金がどの程度のものなのかを実感してみよう……本書はそんな趣旨で作られた大人向けの絵本だ。
"あの金"とは,銀行などに投入された公的資金(x000億円)などであり"何が買えたか"とは,ネットスケープ社の買収金額だったり,サミー・ソーサの年俸だったり,空母の値段だったりする。全く別のカテゴリーのものの値段(企業価値,年俸等)を比べることができ,意外な発見と驚きがある。不良債権問題などこの国の抱える問題を考える第1歩は,まず実体をよく「知る」ことだ。そのためのきっかけをつくるというのがこの絵本の存在意義だ。結構重い,大人のバブル・ファンタジーである。
★★★