波の上の魔術師 石田衣良
- 作者: 石田衣良
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2001/08/29
- メディア: 単行本
- クリック: 9回
- この商品を含むブログ (73件) を見る
ここからマネーの虎風にお送りします。
事実、その男(僕)は市場という名の今まで知らなかった新感覚の荒野を走らずにはいられなくなる。
走れ
吼えろ
ではその男を駆りたてた文章の一部始終を見よ。
世界がまるで変わってしまう一日がある。
ゆるやかな丘を越えて、いつの間にか分水嶺を渡ったように、運命の流れる先が変わってしまう。
名も知らぬ別な大洋にそそぐ流れだ。くだらないポップスみたいに、いい女とのロマンチックな出会いとか、そういうんじゃない。
おれの場合、相手は七十近い男性だった。
そのジジイにたぶらかされて、たいていの日本国民より数年早く迷いこんだのは、マーケットという名前のジャングルだ。すべての参加者がオオカミでも、カモでもある世界。
自己責任と市場主義、ヘッジファンドとロケット科学者、信用取引に電子マネー……そんな言葉はジジイにあうまで、開くこともない新聞の中面にばら撒かれた、ただの呪文だった。
数が歌い、グラフが踊るのを、おれは初めて知った。ほんの数円の値動きで、手作りチョコレートを隣の席のガキに渡す小学生の女の子みたいにどきどきする。
縦一列に並んだ数字から、とろとろとうねる波の上げ下げと、おおきな潮目の変化を感じとれるようにもなった。
この狂った時代、どんなに逃げたってマーケットの影から出ることは、もう不可能なのだ。市 場の傘は世界を覆っている。庶民の振りも、善良である振りも、無知である振りもすぐに通用しなくなるだろう。
市場は参加者の性格など問わない。
横並びのありふれた人生なんてお伽話に関心などもたない。だから、ちょっとおれの話を聞いてみるといい。
絶対に損はさせない(もっともこの台詞は詐欺師と銀行員の決まり文句だ)。
ジジイがやったように、おれもあんたにマーケットという名の水晶玉を渡してやる。そいつを高くかかげるか、足元で蹴りとばすか、それはあんたの自己責任において自由だ。
この話は、お役所が発表する統計をもとに、過去についてだけもっともらしく解説する学者たちの経済分析とは二百パーセント違う。
切れば傷口から、たっぷりと血と膿があふれ出す生きた経済がネタだ。さあ取引を開始しよう。
おれの話は日本経済が破局に一番近づいた一九九八年、あのぼんやりとあたたかな春から始まる。
無類の株好き、吉田マーケット栄作も絶賛!!(ウソ)
なんて心躍らせる文章なんだ!
この本を読んだ後、僕はインターネット上の「野村のバーチャル株式投資倶楽部」で株取り引きを始めました。毎日の値動きが本当にスリリングでおもしろいし、経済・社会にも興味が持てて一石二鳥です。友達どうしのグループでランキングがおこなえます。興味を持った人はいっしょにマーケットへ繰りだしましょう!
★★★★
野村のバーチャル株式投資倶楽部
http://vstock3.nomura.co.jp/vstock/VirtualServlet/loginControl/menu/logout;jsessionid=L5MB15KI4ZSETJFIJCX0LLI