69 村上龍

新装版 69 Sixty nine

新装版 69 Sixty nine

1969年、僕は17歳。無秩序で無垢なエネルギーが爆発する、明るくキケンな、話題の自伝的青春小説。

見つけたぞ、
何を?
永遠を、
それは太陽に溶ける海だ。

 青春という言葉には、許しがたい響きがある。この国の様々な共同体が執行猶予の期間として、基本的にほほえましいものとして容認する過渡期。だが、そこにはもちろん、悩むだけ悩んで楽しむだけ楽しんでいずれときが来たらわたしたちのそばにくるんだよ、という大人の了解が潜んでいる。その了解事項を一歩でも踏み越えれば、ありとあらゆる制裁が待っているが、それは必ず共同体からの追放という形をとる。十代の後半から二十代のはじめの人間にとって、それは恐怖だ。
 青春という言葉も、その言葉が意味する時期も、ただひたすら憎むべきものである。その時期には必ず、自分とは相容れないものが目の前に現れる。それまでは想像の範囲でしかなかった社会が具体的な現実として姿を見せる。黙っていても男が寄ってくるようなきれいな女の子以外、そういうときに人間が味わうのは無力感だ。
 自分は無能だと思うことは、楽だ。自分を自分で許してしまうと、そのあとは奴隷として楽に生きられる。
 というのは嘘で、暗く反省しても誰もついて来ない。だから、楽しんでいる奴が勝ちなのだ。オレはお前らにだけは負けないぞ、一生、オレの楽しい笑い声を聞かせてやる………。
 この文章に意味などあるわけない、小説から適当に文章を選んでつなぎ合わせただけだ。小説がおもしろかったからそれだけでいいんだ。心ウズウズ股間ムズムズ、これは童貞文学の最高峰だ!
★★★★★