ナンシー関トリビュート特集

ナンシー関―トリビュート特集 (KAWADE夢ムック)

ナンシー関―トリビュート特集 (KAWADE夢ムック)

「私は『顔面至上主義』をうたう。見えるものしか見ない。しかし目を皿のようにして見る。そして見破る」。消しゴム版画家、ナンシー関。芸能人の似顔絵とともに、その人にぴったりのするどい「ひとこと」を彫りつけ、押し、その脇にコラムを添えるという誰にも真似のできないジャンルを作り上げた。本書は2002年6月、39歳で急逝した彼女への思いを作家やコラムニストといった仕事仲間らがつづったエッセイや、過去に行われた対談、消しゴム版画作品の一部などを収録したもの。
 僕たちが芸能人を見ていて感じる気もち悪さやおかしさを雲散霧消してくれるナンシーの辛辣な言葉たち。

安達裕実
 「少女」から「女」へと思いきや、いきなり「熟女」へむかっているようにも思えるから不思議。

稲川淳ニ
 稲川淳二が数え切れないほどの怖い話しを記憶している、ということが何か一番しみじみと怖い。

織田祐二
 最終学歴「ピッツバーグ大学日本校(中退)」。どこにあるんだ。

ガッツ石松
 ガッツ石松ほど、多くの人から期待されている「バカ」はいない。

華原朋美
 「……自分の方が異常だったかも」と、供覧のシンデレラ期を過ぎてある意味「冷静に」降りかえっている、という状態にありながらもまだ狂っているという深刻さ。

神田うの
 テレビのト書きの部分のみで生きるタレント。

ケイン・コスギ
 止まったところで日本語苦手だし。よし、とりあえず走っとけ。止まんなよ。

小柳ゆき
 ドン・キホーテ的という市場を発見した時点で小柳ゆきは勝ったも同然。「汚」は愛でるべき重要ポイントになる。

櫻井よしこ
 櫻井さんのオリジナル凶器「お上品」爆弾は、ふとしたところで爆発する。

関口宏
 たくさんの番組を仕切る関口だが「支配人」「店長」などと設定のあるストーリープレイ型番組が多い。

高島政伸
 彼の代表作ドラマ「ホテル」など、見ているとまさに記号処理された顔面ぬいぐるみ演技の連続である。

田嶋陽子
 田嶋陽子はコントに出てくる人みたい。キャラクターや役割りがデフォルメされていて。でもフェミニストが出てくるコントってどんなコントか(笑)。

田村亮子
 自分自身に自分で「ありがたみ」をつけてプレゼンするクセがある。自分で「前人未到の四連覇」とか言うのである。

筑紫哲也
 本当は映画とか音楽とか満載の「王様のブランチ」とかに行きたいんじゃないの。

長島一茂
 不思議なものに過敏に反応する、コワい話しなんかもゾクゾクするので大好き。一茂のとる行動はまさに子供(小四男子)。

中山秀征
 中山秀征は「中山秀征系タレント」の中において抜群の「中山秀征的才能」の持ち主である。いまや、生ぬるいバラエティには欠かせない「ヒデ系タレント」の中で、中山秀征はダントツなのである。バラエティ番組の生ぬるさと、中山秀征の生ぬるさは寸分違わず合致している。

西田ひかる
 西田ひかるの誕生パーティーというのは、全国民が同時に見てしまう「逢う魔が刻」みたいなものではなかったか。

橋田壽賀子
 橋田先生は、意外とひんぱんに水着姿を公開している。

林眞須美
 林眞須美は神田川俊郎に似ている。

藤井フミヤ
 実業家・藤井フミヤ。扱う商品はアーチスト・藤井フミヤでしょ。

松岡修造
 流暢に英語をしゃべる修造はしっかりしたキレ者に見えて、修造度低し。

松島トモ子
 1度ならまだしも2度続けて襲われたとなると松島トモ子側に問題があったと思わざるを得ない。エサっぽかったのか。

水野晴郎
 晴郎フェイスは、ホリが深いというのとはまた別モノの凹凸感、押しの強さ、何故かいつも色黒、揺れる福耳と、どことなく異国情緒を漂わせる。

森繁久弥
 森繁が「死」や「寿命」「葬式」に関することを口にするとき、それらは「森繁ギャグ」に昇華する。

和田アキ子
 今、本当に「イエーイ」って言う人は和田アキ子だけ。

芸能人を斬るとはこういうことだ。最後にナンシーの名言。

「マイナーだからおもしろい」というテーゼがクセ者である。
「マイナーでおもしろい」ものもあるが
「マイナーでもつまらない」ものや
「メジャーでもおもしろい」ものもある。
どちらかといえば、
メジャーでスタンダードなものの中に
おかしみを見つけて鑑賞するのが好きなのだ。

★★★★