家族をうつから救う本 最上悠

「うつ」に苦しむ人にとって、家族こそがいちばんの味方だ。しかし接し方を誤ると最大の敵にもなりかねない。本書は、臨床での治療に携わる著者が、世界標準の療法にのっとって家族関係や対処法を説明したもので、貴重な参考書といえる。

肉親がうつ病になった家族の中には、「病気の子供が何を考えているのかわからない」と愚痴をいう人がいるが、それは少し違うのではないだろうか。心の病気になったから気持ちがわからなくなったのではなくて、病気になる前から、本人が何を考え、どんな気持ちでいるかを知ろうとしなかっただけなのだ。したがって患者さんと接する時には、面倒な奴に付き合っていると考えるのではなく、あなたのコミュニケーションや問題解決の方法が問われていると考えた方が良いのである。

問題の本質は病気自体にあるのではなく、それに向きあうプロセスにある。そして誰でもうつになりうる事を認識しなければならない。
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