友達 安部公房

友達・棒になった男 (新潮文庫)

友達・棒になった男 (新潮文庫)

平凡な男の部屋に闖入して来た8人の家族。善意に満ちた笑顔で隣人愛を唱え続ける彼らの真意とは?どす黒い笑いの中から他者との関係を暴き出す傑作。

前半は笑える。家族のとぼけっぷりがすさまじい。中盤の長男のあざとい行動も見事。最後は切ない。「さからいさえしなければ、私たちなんか、ただの世間にしかすぎなかったのに…」
触れなければ、全くの他人である“世間”。触れなくても、私たちは世間に翻弄される。
★★★★