キャッチャー・イン・ザ・ライ J.D.サリンジャー

キャッチャー・イン・ザ・ライ

キャッチャー・イン・ザ・ライ

1951年に『ライ麦畑でつかまえて』で登場してからというもの、ホールデン・コールフィールドは「反抗的な若者」の代名詞となってきた。16歳のときにプレップ・スクールを放校された直後のホールデンの生活を描く。

 「ライ麦畑でつかまえて」というタイトルと、“この小説は若者の誰もが通過する青春小説”という知識から、僕は勝手にちょっと切なくて甘酸っぱくてエッチな小説だと、この歳まで勘違いしていたんだ、やれやれだよ!
 ライ麦畑で、「あはは!こっちだよ、つかまえてごらん♪」みたいな便座みたいなくだらない展開は全くなしだね。だけど、便座ってないと困るよね、本当の話。
 妹の話をしているときのホールデンはとっても楽しそうなんだ。世界で好きなものって妹だけなんじゃないかな。
 だけど友達や学校について話しているときは、なんか語り口すべてから未成熟な危うさが出てるんだよね。社会や他者への鋭いまなざしがあるにもかかわらず、それがくっきりとした言葉にならずにスラングにかわってるっていうか。それで自分が傷つくほうに向かってしまうっていうか。
ホールデンが受け取った精神分析学者のことば

未成熟なるもののしるしとは、大義のために高貴なる死を求めることだ。その一方で、成熟したもののしるしとは、大義のために卑しく生きることを求めることだ。

★★★