笑犬楼の知恵 筒井康隆
- 作者: 筒井康隆,山藤章二
- 出版社/メーカー: 金の星社
- 発売日: 2002/06/29
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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二列縦隊を正面から撮るときは、本当に二列縦隊になったのでは全員がカメラに収まらないので、ハの字形にならなければならない。より本当らしく見せるためのカメラの嘘ということがりかいできないのである。
現実にも、自分の居場所や位置が理解できない人はたくさんいる。人はみな自分の人生の主役ではあるのだが、すべての局面において主役ということはありえない。こういう場合、自分の居場所を決めるのは、前期の例で言えば、カメラである。自分のほうからカメラを見て、カメラのレンズが見えれば自分は被写体として移っていることがわかる。同様に実生活でも、虚構に擬したその場において、自分はどういうテーマの下にあり、誰から、何から見られているか、見ているそれやテーマが那辺にあるかがわかれば、おのずから自分の居場所もわかってくるのである。次には周囲を見て、誰がどこにいるかを見定めていけば、おのずと自分のいるべき位置もわかるのである。
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