松永真、デザインの話。 松永真

松永真、デザインの話。

松永真、デザインの話。

現代日本を代表するグラフィックデザイナー松永真が次々に放つ名作、ヒット商品。そのシンプルで鋭い衝撃力を持つデザインの秘密がここにある。言葉を超えたデザインを、言葉で語る初めての文章本。一瞬のひらめきにも多彩なプロセス。
 松永真、田川出身だったとは。
<紀文の素材缶>

 人参なら人参、トマトならトマトが魅力的な顔をしてそこにあれば、それは資格伝達としてすばらしいのではないか。当時スーパーマーケットなどで目にする缶詰は、単に食材としての中身を提供するためだけにデザインされた無気力で複雑なものとして店頭に並べられていた。食べ終わったら何の感慨もなくゴミそのものという悲しい存在だった。その缶詰の顔であるパッケージには、会社の一方的なセールス・トーク、品目や成分、内容量が羅列されているという状態。私は生活者としてこのことを常日頃から不満に思っていたのだ。

「何もしないことも重要なデザインである」(ほんとうに何もしないことではない。一見何もしてないように見えるという意)

デザインの裏には多くの理屈がある。
★★★