コピーライター入門 原鴻一郎

コピーライター入門

コピーライター入門

広告をつくる楽しさ、コピーを考え抜く苦しみ、アイデアがヒットした時の大きな喜び…。広告を良くも悪くもしてしまうコピーを作るコピーライターの仕事や舞台、発想など、基礎的な知識をわかりやすくまとめた入門書。*

 ビジュアルは企画に対してより具体的な思考へのベクトルです。又コピーは企画に対してより抽象的な思考へのベクトルです。2つのベクトルが同じ方向に向かった原稿ほどつまらないものはない。絵もコピーも同じコトを説明しているだけの原稿です。又、反対に別々の方向にベクトルが向かった原稿は何を言いたいのか訳のわからない原稿に仕上がってしまいます。そんなわけで、ビジュアルが押せば、ちょっとコピーが引く、又、逆もある。2つの関係に緊張感と距離感があること、恋愛関係を持ったビジュアルとコピーになることではないでしょうか。

「でも、キャッチフレーズの正解って、ひとつですよね」
「あ、おまえ、そこから間違ってるよ。正解はいっぱいあるよ、キャッチは。マーケは、これこそが正解!ってあるよな。正しいデータは、ひとつだし。でも、コピーはいろいろな切り口の中にいろいろな答えがあるんじゃないの。それに、ボクはいろんなコピーライターの人と仕事してて、思うけど、コピーって言うのは結局、正解不正解じゃなくて、いいか悪いかとか面白いか面白くないか、とかだよね

キャッチフレーズっていうのは基本的に商品のことをほめるよな。言い方はどうであれ、逆説であろうとなんだろうと、結局はほめる。でも、まっとうにほめたんじゃ、コピーとしては面白くないし、誰がコピーライターやっても同じだ。だから、いかに誰もやらなかった方法で商品をほめるか、というのが、コピーライターの腕の見せ所なのだよ。褒め方のテクニックっていうのかな。先輩たちのを見ればわかるけど、みんな何とか自分流のほめ方をしようとしている。

基本的な考え方から、細かいテクニックまで。いい教科書だ。
★★★★★