親孝行プレイ みうらじゅん

親孝行プレイ (角川文庫)

親孝行プレイ (角川文庫)

偽善でもいい。まずは行動。親の喜ぶ顔を見れば、心は後からついてくる。最初は偽善でもかまわない。まずは行動。”プレイ”と思えば照れずにできる。心は後からついてくる。著者が自ら行い確証を得た、親を喜ばせる具体的なワザの数々。親に電話したくなる、温かい気持ちになる一冊。

<親孝行旅行プレイにおけるポイント>

・親と部屋を別々に。
・「ホテトル嬢プレイ」でサービス。
 具体的には、「自分の自慢話」に終始したい。ある程度の年齢になったとき、親がもっとも喜ぶトークとは「自分の子どもはいかに頑張ってるか」なのだ。
・「ご休憩プレイ」
 うたた寝をして、「息子に布団をかけてやる」場面を演出。昔の親子関係を疑似体験させることができる。

<妻活用法>

 本題に入る前に、まずは諸君の母親と妻の関係、これをはっきりと認識しておいていただきたい。諸君の母親は義理の娘、つまり諸君の妻をどういう位置づけで捉えているのであろうか。
 結論から先に言えば「最愛の人を愛人にくれてやった」と言う表現が、もっとも相応しいであろう。
 母親はいつまでも恋人なのである。

 すなわち、「愛人」の親孝行プレイにおける姿勢とはどういうものかといえば、これはもう「徹底的に夫にかしずく」「夫をとにかく褒める」である。夫の実家では「殿様プレイ」が基本である。しかし、生物として「嘘をついでもサービス」という本能がインプットされていない女性に親孝行プレイを無理強いすると、今度は諸君の家庭自体が崩壊してしまう危険性がある。そこで、親孝行学会ではこの問題に対し、親孝行における公費を特別に認めることと成った。諸君も心置きなく、以下の方法を利用していただきたい。
「妻にはギャラを2万円」
 ちなみにこの2万円という金額は、様々な討議がなされた末に、「足してコートでも」という額が一番妥当であると言う結論から導き出されていることを、最後に付け加えておこう。

<孫活用法>

世にまかり通っている言説で、明らかに間違いであるものがある。「孫を見せるのがいちばんの親孝行だ」という考え方だ。「孫にはすでに他人の血が入っている。」この事実を見逃しては成らない。祖父母という種族が、孫が父親にか母親似かをどうしてあれほど気にするのか、その理由はここにある。
 だから当然、諸君が子どもをつれて親に会う場合、どちら側の親に会うかによって、その「似てる」プレイは、内容を変えていかなくてはならない。
 かように、孫見せプレイは、イコールで血筋プレイであることを肝に銘じておかねばならない。

お盆は、プレイ…してみるかな。
★★★★★