神の名前 王国記Ⅶ 花村萬月
- 作者: 花村萬月
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2008/03/26
- メディア: 単行本
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以前、あたしは考えた。たとえば殺人を犯してしまえば、殺されたものは蘇らぬわけで、まさに取り返しのつかないことをしてしまったということだ。
では、なぜ、罰を与えるのだろうか。
いまある法律で罰を与える、つまり死刑にしようが、無期懲役にしようが、あたしには無意味なことにしか思えない。
死刑なんて、次に殺人を犯すかもしれない者たちに対する見せしめに過ぎないのではないか。
あたしが殺人者であるとしたならば、あたしが犯した殺人に値する、あるいはイコールで結ばれる純粋な罰を与えてほしい。
見せしめなどと言う、あたしのあずかりしらぬ第三者に対する不純物が含まれている処罰は、納得できない。
罪は純粋だが、罰は不純だ。
★★★