失敗の愛国心 鈴木邦男

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「正義」は「不遜」だ。

 右翼も左翼も、そして宗教もそうだろうが、「運動」をする人たちは、自分たちが「正義」だと思っている。この世の中をよくする「解決策」を発見し、自分たちだけがそれを持っていると思っている。だから、多くの人たちにそれを知らせなくてはならないと思う。この運動はその人たちのためにやっている。それなのにみなは気付かない。だから、少々荒っぽい手段を使っても、気づかせようとする。

 考えてみたら奇妙な話だ。二十歳前後の学生が、これこそが究極の真理だ、正義だ、これさえあれば世界を救えると思う。そんな正義を知ったから多くの人にすすめなくてはと思う。不遜な話だろう。でも当時はそうは思わなかった。
 正義を知った。自分は正義だ。その「正義の原液」を持っている。それを多くの人々に分けてやる。そうしたら世界はよくなる。すばらしい世界になる。そう信じて疑わなかったんだ。

★★★