魯山人 美味の真髄 平野雅彰

魯山人 美味の真髄―魯山人が究めた食の心とかたち

魯山人 美味の真髄―魯山人が究めた食の心とかたち

美しすぎる、美味すぎるなどは、ものの何であろうとも最上ではない。工手間の多過ぎる伊万里の皿のごときが最上でないように、料理などもあまり手間をかけすぎたものには最上の美食はない。

「料理の美味いまずいは、十中九まで材料の質の選択にあり」と解してよい。いうなら種を選ぶことに、ベストを尽くすべきである。

わさびは摺ると思うな、練ると思え。

 わさびはツーンと鼻にきて、パッと消えていくものが上物だなどという人があるが、それはわさびのほんとうの上物を食べたことのない人のいうことで、本場ものの一級品はけっしてそのようなものではない。口に甘味が残って、鼻におもむろに辛味がきて、また、おもむろに行きえていくモノ画、本当の上物の風味である。

★★★