ゴーマニズム宣言EXTRA1 小林よしのり

食糧、戦争、歴史、世相…。早くも的中した予言の数々―。農産物と世界クジラ会議から日本の食を考え、大東亜戦争と現代のアメリカの戦争から日本のあるべき姿を説き、世相や流行から時代の変化を読み取り、家族や身内を語りながら理想を追究、そしてまた自らの故郷から遠く古代史を想う…。縦横無尽の大迫力で読むものを呑み込む新シリーズの第1弾!現代の必修科目、満載。
「現代戦争論 これから起こる戦争に備えて」
 9ヶ後に起きることになるイラク戦争を見据えて書かれた作品。これはまさしく小林よしのり版「華氏911」だ。
 氏はまず、9.11後の言論状況を①相変わらずの反戦・非戦派②ポチ・ホシュ派③グローバリズム批判派に分け、③の立場からグローバリズムというアメリカ流の資本主義の押しつけを拒むべきと説く。同時に将来の日本の危機に際し、日米同盟は必要だが、軍事同盟は精神の同一化を強いられるものではないとも説く。911の際に使われた「カミカゼ」「グラウンド・ゼロ」といった言葉に違和感すら感じなかった私は、確かに歴史を喪失した日本人と言える。気がつけば精神までアメリカナイズされていたのだ。
 また、映画スパイダーマンから「大いなる力には大いなる責任がともなう」というセリフを引用し、笑わせるんじゃねーよ!チベットアメリカの国益につながらんから見捨ててるんじゃねーかよ!たまたま国益につながる国に対しては「人道的介入」のふりをして戦争を仕掛けるのである、と痛烈に批判。この抽出の仕方はマイケル・ムーア以上に面白かった。
 最後にグローバリズムなんて止められない、それがリアリティだ、と居直る若者に警鐘を鳴らす。リアリズムを前に葛藤せよ、創造は葛藤の中からしか生まれない。アメリカの言葉を使わず、日本人は日本の言葉で戦いの道義を語らねばならないと。結局大量破壊兵器も見つからなかった。首相は借りものの言葉で国民を説得したことで、間違った道を進んだと思う。
「食から滅びる日本人」
ハンバーガー、牛丼、これらは世界で一番安い牛肉を使ってる。それはどんな牛肉か想像したほうがいい。明かされるアメリカの食肉処理場の実態。これを読んだあとで躊躇いなく食事ができるだろうか?
 湯布院をとりあげたくだりでは、湯布院は脱アメリカニズムで日本の国柄を再生していると気づく。グローバリゼーションやむなしで、価格破壊OKで、日本的なるものの崩壊を許す大人たち。現代の子供が荒んでいるのは、子供に何を残すかといった大人の視点が欠如していることに大きな要因があると痛感した。
「『セカ中』は『自己中』、純愛とは何か?」
 かなり笑わせてもらった。これを読んではずかしくなる女は多いのではないか。「私」のために生きる女。そういう女に尽くす男、という現代の構図。氏は哀れな女どもを救うためには、男たちが死を賭けるしかないのだぞ!というが、自分はその構図にはまるのがリアリティだ!と居直ってしまうだろう。
★★★★