熊の場所 舞城王太郎
- 作者: 舞城王太郎
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2002/10
- メディア: 単行本
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『熊の場所』
恐怖とは一体なんだろう。恐怖とは、一体何に対して生じる感情なんだろう。
勝ち負けの結果予想はともかく、まー君も戻らざるをえなかったのだろう。だって誰でも、自分に恐怖を与えている場所にちゃんと戻らないと、恐怖は一生ついて回るからだ。恐怖から逃れたければ、できるだけ早く、熊の場所に帰らなくてはならない。
『バット男』
人間の社会には善も悪も正解も間違いもはっきりとはないが、ひとつだけ、力の差だけは明快に、疑いようもなく、歴然としてあるのだ〜〜
人生はスポーツではない。負けてないことが勝つことにはならない。そしてこれは誰でも判っているだろうが、人生ってのは大きな引き分け試合だ。でもそれぞれの局面において、勝ち負けはちゃんとある。って言うか勝ち負けしかない。でも負けた時しか、勝ち負けの判断はうまくできないのだ。
バット男はどこからどんな風にやってくるのか判らない。自分より弱いやつをバットで殴るために。
僕はだから、どんなバット男にも負けないように強くならなくてはならない。誰にも殴られないように、自分を鍛えなくてはならない。
負けたら下手すれば、自分がバット男になってしまうかも知れないのだから。どこかで表面がぼこぼこのバットを拾って手にして、自分より弱いやつを探して殴ろうとしないとも限らないのだから。
『ピコーン!』のラストは大爆笑。お笑い好きは読むべし。
★★★★