チェ・ゲバラ伝 三好徹
- 作者: 三好徹
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カストロらと共にキューバ革命を闘い抜いた男の生涯。彼は革命家であり、医者であり、詩人であった。彼の文章はすごく心を打つ。ここにはチェのロマンティストな一面を記しておこうと思う。
著書「ゲリラ戦争」のとびらに書き遺した文章。
少年時代から南米大陸をともに踏破した友人、アルベルト・グラナドスへ
――想い出として何をあげたらいいか、ぼくにはわからない。そこで経済学と砂糖キビを勉強する義務を贈りたい。ぼくの住まいは再び二本の足で放浪することになった。ぼくの夢に国境は無い。少なくとも弾丸がモノをいうまでは……
硝煙の匂いが消えたら、ぼくはきみを待つことにしよう。定住したジプシーであるきみをね。きみたちすべてを抱擁する。
(トーマスによろしく)
チェ
三大陸連帯機構あてのメッセージの一節
――もしぼくらが世界地図の上の小さな一点で、ぼくらの義務を果たし、捧げうるものはどんな小さなものでも、命さえも、この闘いにゆだねるならば、そしてまたいつの日か、すでにぼくらのものであり、ぼくらの血に染まった土地で最後の息をひきとろうとも、このことだけは知らしめたい。ぼくらは活動範囲をじゅうぶんにわきまえており、プロレタリアート大集団の一分子であると自覚しているばかりではなく、キューバ革命から学んだことを、ぼくらが誇りにしていること、を。そして、その最高指導者から、世界のこの一局部においても、大いなる教訓「人類の運命が賭けられているとき、一個人や一国家の危険とか犠牲とかが何だというのだろう」という教訓が、身をもって示されていること、を。
ぼくらのすべての行動は、帝国主義に対する戦いの雄叫びであり、人類の敵・北アメリカに対する戦いの歌なのだ。どこで死がぼくらを襲おうとも、ぼくらのあげる鬨の声が誰かの耳にとどき、誰かの手がぼくらの武器をとるために差し出され、そして、誰かが進み出て機関銃の断続的な響きとあらたに起こる鬨の声との相和した葬送歌を声高らかにうたってくれるならば、死はむしろ歓迎されてよいのである。
世の中に理想や思想と行動が伴なっている人はどれほどいるだろうか。また、多くの人は思想を語り、そしてそれを実現しようと行動する。チェは違う。チェは「行動することによって思想を述べる」という生き方だった。すべての革命家は、革命が成就すれば第一線から退く。例外はチェだけだ。彼はキューバ革命後もボリビアでの戦いにその身を投じた。その生き方は銃弾に斃れる最期まで貫かれた。
リスペクト フォー チェ!
★★★★