反自殺クラブ 池袋ウエストゲートパークⅤ 石田衣良
反自殺クラブ 池袋ウエストゲートパーク 5 (池袋ウエストゲートパーク (5))
- 作者: 石田衣良
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2005/03/10
- メディア: 単行本
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「わたし、すごくセックスしたくなっちゃった。マコトさん、このまま西口のホテル街にいって、朝までめちゃめちゃにHしない」
晩めしはイタリアンにしよう、それくらいの調子の軽い提案だった。ミズカは顔色ひとつ変えていない。普段のおれなら足元がぐらりと揺れる誘いだが、そのときは違っていた。
「やめろよ。おれはカッターじゃない」
ミズカは不思議な顔でおれを見る。
「おまえが苦しみを忘れるために自分自身を傷付ける道具にはなりたくないんだ。リストカットも、好きでもない相手とのセックスも同じだろ。いつかミズカがコーサクのことをちゃんと受け入れられる日が来たら、また誘ってくれ。そうしたら、おれはどんな大事な用だって放り出して、ミズカに会いにいくさ」
無条件の共感、受容、自己一致の3条件がカウンセリングマインド。無条件の共感を否定するという優しさ。好きでなくても好きだと錯覚してするセックスは鋭いメスみたいなものだろうか。最初はその切れ味に痛みを感じないが、後でじわじわと痛み出す。メスを使っていいのはその道のプロだけだ。
たくさんの死体を見たこの夏で、おれが得たのは簡単な真実ばかり。それは以下のとおり。①死んだ人間より、生きてる人間の方が魅力的。②心はいつも外の世界で自己を実現しようとする。③おれたちはどれほど些細な理由でも自殺できるし、その反対にどれほどくだらない目的で生きていくこともできる。
高田純次が①を言ったらいい加減に聞こえるだろうw人生ってだいたいくだらないことであふれてるよな。
★★★★