よくわかる食品業界 柴崎希美夫

よくわかる食品業界 (業界の常識)

よくわかる食品業界 (業界の常識)

『保守と流行の間で大きく揺れ動く“食”』
 本来保守であるはずの食が時として大きな変化を示す。コーラやハンバーガーが瞬く間に多くの日本人に受け入れられた。
 異なる文化の混合、交流。既存文化に対する否定、逸脱。保守イコール不変ではないということだ。言葉が相であるように、食も徐々に変化し既存の食文化を変えている。それどころか、食な時に流行に敏感な側面を見せる。
 一般に夢を叶えたり、本物を手にするには莫大な時間と労力が求められる。様々のストレスがうっ積する中、消費は手軽にそのような諸っ九不満を解消し夢を別の形でかなえてくれる。特に食は比較的少ない支出で、束の間の夢と安堵感、快楽を提供してくれる。そのことを易きに流れるといって批判することは簡単だが、決して否定されることではなかろう。日々の小さな変化、思わぬ発見、意外な展開こそが人生の楽しみであり、食は日尾住生活を演出するのに最も適した場面を提供するのだから。
 このように、食は保守と流行の間で大きな振幅を示す。だが、保守的だから変化が求められ、変化があるから停滞の弊害に陥ることもない。文化の更なる発展はちょっとした変化がきっかけで起こる。