ビル・ゲイツの面接試験 ウィリアム・パウンドストーン
- 作者: ウィリアムパウンドストーン,松浦俊輔
- 出版社/メーカー: 青土社
- 発売日: 2003/06/15
- メディア: 単行本
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本書は複数の目的から書かれている――企業の採用活動に関する研究書であると同時に、IQ試験の意味についての本でもあり、面接の歴史についての本、パズル本でもある。
パズル面接は、この不確実性(絶望?)の風土の、一番見やすい反映だ。雇用する側は、今、言葉にならないものを探している。それはまさに、知能ではない。自信とやる気がそこに入る。不確実性を受け入れ、前提を疑い、事業を完成に導く能力と言えばいいだろうか。批判的な判断と言う強い要素もある。「前提を疑う」とは、どの前提を、いつ疑うか、そのこつがわかっていなければ、IBMの「シンク」という合言葉と同様、陳腐な言い回しだ。才能のある人が、そういうことをかくもうまくやれる事情を、実は誰もわかっていない。われわれには、まだしばらくは、間に合わせの評価法しかない。「これから行く先は枝分かれしています。でも、本当のことしか言わなかったり、うそしか言わなかったりして方向を教えてくれるような、助けになる人は1人もいません。さて、自分の進路をどう見つけますか?」
「あなたの強みは何ですか?弱みは何ですか?」
「私の強みは責任感が強いことです。それは……という経験からです。」
こんな型にはまったやりとりにどれほどの意味があるのだろうか。この本を読んで採用活動の意味とある種の限界を考えさせられる。人が人を評価することにおいて、面接する側がどれだけ意味のある情報を引き出せる質問が作れるかということは非常に重要だ。多くの企業が尋ねる、強みと弱み。そこにどれほどの意味が込めらた答えを出せるか、考えてみよう。人事は表現され得ない答えに隠れた人間力まで見通せているのか?
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