夜のピクニック 恩田陸

夜のピクニック

夜のピクニック

夜を徹して八十キロを歩き通す、高校生活最後の一大イベント「歩行祭」。三年間わだかまっていた想いを清算すべく、あたしは一つの賭けを胸に秘め、当日を迎えた。去来する思い出、予期せぬ闖入者、積み重なる疲労。気ばかり焦り、何もできないままゴールは迫る――。ノスタルジーの魔術師が贈る、永遠普遍の青春小説。

 夜ってやっぱり特別な時間なんだと思う。人は夜になるとちゃんと眠るように、遺伝子にプログラムされている。だからそれに抗うと、普段じゃできない思い切った行動をしてしまったり、恥ずかしい文章を書いてしまったりするのだろう。彼らの事情は複雑なんだけど、あの複雑な事情の受け止め方は、ピュアな高校生の受け止め方だなあと感じた。近づくことで失ってしまうんじゃないかという気持ち。だけど本当は近づかないことで失ってしまうことの方が、人生の大きさから考えると大きいということに気づかない若さ。人は「思い出を作るため」につきあうんじゃないよね。二度と逃せない、青春のタイミングのお話。
 ところで貴子は巷で話題のツンデレだな!
★★★