ブスのくせに! 姫野カオルコ

ブスのくせに! (新潮文庫)

ブスのくせに! (新潮文庫)

神様、どうして美人はモテないのでしょう。文学、映画、芸能界など様々な男と女に関する想いを真っ直ぐに綴った、正しい勇気がわいてくるエッセイ集。

「ここのところ、夏目漱石の『吾輩は猫である』を読んでいる。これがじつにおもしろい。猫の目をとおして、様々な人間が観察されている。人間のおろかさが如実に描かれていて如実に吹き出してしまう……」
 これは、ある小学生(女児・11歳)の日記である。
<先生に見せなくてはならない日記>
 11歳の人生にとって、この課題は重い。もし、その女児が優等生であれば、先生の期待しているような日記に仕上げなくてはならない。
 となると、日記にはたんに、
「今日はお母さんのお手伝いで草むしりをしました」
とか、
「ゆかりちゃんといっしょに公園でバレーボールをしました」
とかいうことだけでなく、なにかキラリと光ることも書いておかねばならない。といって、
「ユリちゃんは男子からスカートをまくられたときにキャーキャー叫ぶ。その叫び方にはちょっと男子に好かれたがってる気持ちが隠れている」
などと書いてはいかん。
「西村先生が教頭先生の家に御歳暮を持っていくところに出会いました」
も、いかん。
 となると、読書に関することは最適のネタである。
 こうした子供の浅知恵で、女児は先のような日記をしたためたのだった。 

 この文章は姫野カオルコの性格とか知性を如実に現していて気に入っている。今回も笑わせてもらった。
★★★★