おんぶにだっこ さくらももこ

おんぶにだっこ

おんぶにだっこ

さくらももこ全力・書き下ろしエッセイ!!またも、王道!!テーマは「幼年期」。初めて書く、爆笑と感動を超えた“まる子”以前の日々。
 切ねー!さくらももこのなかでは最も純文学的なエッセイでよかった。結構涙腺刺激。托鉢の人を「人さらい」と思ったり、自分に似ている人形が自分に似ていると言われるのを嫌がったり、友達のビーズを盗んで、事実は変わらないと感じながらなき続けたり。小便くさいいじめられっこの松永君をぶった話だったり。

 ぶたれても仕方ないと諦めている松永君の哀しさが、松永君をぶった瞬間から私の心に流れ込んできて消えない。私は、この哀しさをずっと忘れないだろう。大人になってからも、きっと。

 こんなずる賢い部分もあったり、

 あと一息で成功しそうだと思ったら、やたらと欲しがらず、「ジュウシマツがいたら、楽しいだろうね」などと漠然とした幸せのイメージを語ったりsると、相手もつい「そうだね」といってしまい、まんまと成功する確率が高い。
 このごねのテクニックにより、母がついつい「じゃあ飼おうか」といってしまい、私は心の中で「やったーー!!」と叫んだが、あまり派手に喜ぶと「うるさいねぇ。やっぱ、やめよう」と言われることもあるので、控えめに「わーい」と言う程度にした。

★★★★