「できる人」はどこがちがうのか 斉藤孝

「できる人」はどこがちがうのか (ちくま新書)

「できる人」はどこがちがうのか (ちくま新書)

今日のように社会構造が根底から揺らいでいる時代には、各自が固有の判断のもとに動くほかない。そのためには、オリジナルなスタイルをもつことが大切である。「できる人」はどのように"技"を磨き、上達の秘訣を掴んだのだろうか。スポーツや文学、経営など様々なジャンルの達人たちの"技"や、歴史の上で独特な役割を果たした人々の工夫のプロセスを詳細にたどり、新しい時代に求められる"三つの力"を提案する。
 三つの力すなわち、コメント力(要約力・質問力)、段取り力、まねる・盗む力を技化し、自分のスタイルを練り上げていく、ひいてはそれが自分の生を肯定できやすくなる、と筆者。
具体的には何をすればいいのか。できそうなものを記録しておく。
 要約力を高めるには「二/八方式」。読書の際、そこの部分をしっかり読めば、本の八割方をつかむことができる、そのような二割を選び取ろうとすること。
 盗む力を高めるには、本、映画、スポーツなど何かを上達論のテキストとしてみることを習慣化する。
 村上春樹の「文章を書くこと」と「走ること」についての考察

 すべてをクロスさるということ。
 少なくとも走るときの課題意識や実際の変化を。書く際にも応用して感じるように習慣付けていれば、影響関係は大きくなる。ストレッチングや筋肉を鍛えるときに、当該の筋肉に意識の焦点を合わせるかどうかで効果は極端に変わってくる。それと同様なことがここでもいえる。「走ること」と「食べること」と「文章を書くこと」の間に、一貫した変形作用(スタイル)を感じ取る。そうしたスタイルを追求する態度そのものが、こうしたクロスした影響関係を増幅させる。
 領域を超えてスタイルを作っていくという強い意志が上達の方法として機能する。

★★★★